終盤、突然の黙秘…結審直前にまさかの振り出しに⁉20代前半の女性被告 詐欺・大麻事件で予想外の展開に!?
2025.04.27
その被告の裁判は3月に始まった。
被告は20代前半の女性。髪は金髪で肩までのボブカット。鼻にピアスをしている。福岡に住んでいる被告がここ札幌地裁で裁かれているのは、被害を受けたのが札幌の男性だったことによる。
問われている罪は「詐欺」「大麻取締法違反」
・SNSのスレッズを用いて「融資できますよ」と投稿。融資を依頼してきた札幌の男性をインスタに誘導しDMで「1割分の利息1万円を先払いすれば、10万円を融資できる」と持ち掛け、1万円を振り込ませたところでインスタをブロック。男性が被害を届け、警察の捜査から女は特定され逮捕された。
→男性に振り込んでもらった口座は、自分の本当の口座(旧姓)を使っていて、調べたらすぐバレることが明らかな幼稚な犯行
・詐欺容疑での逮捕とともに自宅を家宅捜索。自宅内に大麻がみつかり、夫ともに逮捕される
→逮捕された後、生まれたばかりだった長女は乳児院に預けられることに
わずか1万円の被害とはいえ、被害者の男性は会社の運転資金が火の車で、わらにもすがるつもりで融資を頼んだものだという。ちなみにこの詐欺をやろうと思ったきっかけは、自分自身も同じ手口で2回だまされていて「私にも出来るんかな?」と思ったことがきっかけだ。犯罪の負のループが垣間見える。
初公判では詐欺事件のみの証拠調べが行われた。大麻については追起訴されたばかりで、証拠調べに間に合わなかったとのこと。次回、大麻も含めた証拠調べののち結審しましょうということで初公判は終了した。
2回目の公判 母親も証人として登場し涙
2回目の公判は1か月ほど後に開かれた。被告は保釈されていて、弁護士や母親とともに法廷に現れた。母親がいるのは証人尋問のためだろう。
検察官が起訴状を読み上げ、被告はその内容について「間違いないです」と答えた。そして、証拠調べのあと、母親に対する証人尋問が行われた。
弁護士:被告人は詐欺しなきゃいけないという経済状況にあったのですが、当時被告人のその状況を把握していましたか?
被告の母親:大変だということは承知していました
弁護士:大変だということは知っていても詐欺するほどまで困窮していたとは思っていなかった、ということでしょうか
被告の母親:はい
弁護士:大麻を使うようになった原因はどこにありますか
被告の母親:最初は興味本位だったと思います。雰囲気とか友達関係とか。そういうところを続けてしまって、いわゆる社会のルールや善悪の判断、自分への甘さ、未熟さがそういうことをさせてしまった原因ではないかと思います
弁護士:被告人に教育してこなかった?親としてその責任を果たしてこなかったのではないですか?
被告の母親:………(無言で涙を流す)………すみません
弁護士:今後被告人に対しどのように接していきたいと思いますか
被告の母親:日々のコミュニケーションをしっかりとりながらお互いの家を行き来して今後このようなことがないようにしていきたい
…………
娘の更生を涙ながらに訴える母親。被告もそれを神妙な面持ちで見守り、その後、本人に対する被告人質問が始まった。
検察官の質問の途中から潮目が変わる…思わぬ展開に
弁護士:必要なお金をどうしようと思ったんですか?また母に借りようとは思わなかった?
被告:(母に)だいぶ借りていたので言いづらかったです
弁護士:それであなたはSNSで詐欺について勉強して「自分でもできるんじゃないか」と思った?
被告:はい
弁護士:あなたは自分も(詐欺の)被害にあっていて、今後は加害者になろうと、被害にあった人の気持ちを考えたことがありますか?
被告:申し訳なかったと思います
弁護士:自分の名前の口座を使って、バレるとは思わなかった?
被告:考えていたけど、それよりも自分の欲が勝って…
弁護士:大麻はいつからどういうきっかけでやっているのですか?
被告:19歳、交際相手に誘われてです
弁護士:今後大麻の仕様についてどうしますか
被告:もう二度と手は出しません
…………質問者が検察官に代わる………
検察官:詐欺のことについて、インスタグラムでダイレクトメッセージを送っていますよね。「1割の利息分をこちらに送金いただけたら確実にお金貸しますよ」と
被告:はい
検察官:この言葉は自分で考えたのですか?
被告:SNSを参考にして自分なりに変えて
検察官:どこを変えたのですか
被告:1割ということろ。2割とか5割とかあったけど、一番低いのにしました
検察官:なぜ一番低いのにしたのですか?
被告:一番取りやすい。相手も払いやすいかなと。額がでかいなら払わないかなと思いまして
……………
詐欺事件に続いて、検察官は大麻についての質問を始めた。すると少しずつ被告人の証言に変化が出てきた。きっかけは「夫」についての質問だった。
……………
検察官:今度大麻のことを聞きますね。大麻を購入していたのは?
被告:私が購入していました
検察官:なぜあなたが?●●さん(夫)は買わないのですか?
被告:私が基本的に使っていたので私が買いました
検察官:●●さん(夫)も使っていたでしょう?
被告:………(無言)………
検察官:使っていたところを見たことは?
被告:……………覚えていないです
検察官:検察庁で「本当のこと話します」って言ってましたよね
被告:…言っていました
検察官:そこ、どうです?
被告:……………(無言)……………
検察官:「本当のこと話します」って言ったことはウソだったということ?
被告:……………(無言)………………
裁判官:黙秘するということですか?
被告:(うんうんとうなづく)そうします
検察官:去年12月に出産。そのときの妊娠中も大麻は吸っていたのですか?
被告:はい
検察官:大麻が赤ちゃんに害があるとは知らなかった?
被告:知りませんでした
検察官:●●さん(夫)は大麻を吸うところを見ていた?
被告:いいえ
検察官:●●さん(夫)に「チルしたい」とメッセージ送っていますよね
被告:……………(無言)……………
検察官:「チル」は大麻を使用することじゃないですか?
被告:……………(無言)……………
検察官:お母さんの言葉をきいてどう思いました?
被告:もう悲しませることはできないと思います
検察官:もう二度と手をださないようにするから反省している。本当に抜け出したいのなら本当のことを話さないとだめだと思うんですよ。●●さん(夫)が大麻を使っていることを見たことはないんですか?
被告:ないです
裁判官:起訴状についてあなたは「間違いない」と言っていましたけど、間違いなんですか?
被告:警察の人に言われて…あの部屋で大麻を吸っていて、一人が気づかないのは「無理がある」と言われて。気づいたら●●(夫)も捕まっていたので…
「夫と共謀して大麻」という起訴状の内容をここへきて否認し始めた被告。真実なのか、夫をかばおうとしたのかは不明だが、きょうの公判で結審できるのか暗雲が立ち込め始めた。
裁判官は弁護士に対し、被告と話をするよう促し、一時休廷。
ロビーでは被告のすすり泣く声と説得するかのようになだめる弁護士の声が…
15分後、再開された裁判で、弁護士が口を開いた。
弁護士:控訴事実を一部争うことにします
裁判官:公訴事実とはどこですか
弁護士:〝夫と共謀のうえ〟というところ、ここについては争うと
…………………
この日結審し、その数日後には判決公判を迎えるはずだった裁判。つまり、あと1回の裁判で終わるところ
次回も証拠調べが行われることになり、2回以上公判が開かれることが確実になった。
福岡から出廷している被告。次回の裁判がどのように展開するのか、注目だ。