「あなたの言うことを信じると思いますか?」…女児への性犯罪 前科3犯の被告 背後から女児を襲うも「話したいだけだった」
2025.08.12
男の名は笹森祐樹被告。年齢は51歳。
拘束された状態で法廷に現れた。眼鏡をかけ、髪は丸刈りで頭頂部は薄くなっている。
笹森被告が問われている罪は、住居侵入、傷害、児童ポルノ禁止法違反。
・2025年5月 札幌市東区で8歳の女の子の後をつけ、女の子が自宅の車庫に入ったところを背後から両手で腕をつかんでひっぱり、けがをさせた
・その後に行われた笹森被告の自宅の家宅捜索で、小学5年生くらいの女児が性交している児童ポルノ動画がみつかった
知らないおじさんに、背後からいきなり腕をつかまれた女の子の恐怖はどれほどであっただろうか。
そしてこの笹森被告、これまでにも複数回逮捕・起訴され有罪判決を受けている。いずれも小さな女の子への性的暴行という、許しがたい犯罪だ。
・他人の住宅に侵入し、6歳の女の子に無理やり性的暴行を加えた罪
・他人の住宅に侵入し、7歳の女の子に無理やり性的暴行を加えた罪
・16歳の女子高校生の胸を触った強制わいせつの罪
被告人質問では、検察側だけでなく弁護側からも厳しい指摘が飛んだが、被告の発言はひょうひょうとしたもので、傍聴席でも被告に対する怒りの感情がうずまいていた。
「わいせつ目的ですよね?」「今回は違います。仲良くなりたいと思った」
弁護士:被害者の自宅車庫に侵入し、被害者に傷害を負わせたことと児童ポルノを所持していたことで間違いないですよね?
被告:間違いありません
弁護士:被害者のAさんとは面識があったのですか?
被告:いえ、事件当日公園で見かけたのが初めてです
弁護士:あなたは公園で何をしていたのですか?
被告:夕方からストロング缶を10缶飲んでスマホをいじっていました
弁護士:なぜAさんの後をつけていったのですか?
被告:仲良くなりたいと思いました
弁護士:どう仲良くなりたいと思ったのですか?
被告:学校で何が流行っているとか教えてほしいと思いました
弁護士:おしゃべりをしたいと?
被告:はい
弁護士:あなたのこれまでの前科はすべて性犯罪ですが、今回はわいせつ目的でなかった?
被告:今回は違います
弁護士:今回いきなり腕をつかんでいる
被告:正直、自分でもなぜそういう行動をとったのかわからないです
弁護士:腕をつかむ前に声をかけましたか?
被告:かけていません
弁護士:Aさんからしたら言葉にならないほどの恐怖を感じたと思います。Aさんの気持ちを考えたことはありますか?
被告:申し訳ないですけどその時はそういう思いに及ばなかったです
弁護士:いまはどう思いますか?
被告:自分の身勝手な行動で被害者や被害者の両親には申し訳ないことをしたと思います
弁護士:被害弁償しようとは思っていませんか?
被告:私は生活保護を受けている身ですので出来ません
弁護士:今後はどうですか?
被告:返済能力がないので…
弁護士:これから女の子に手を出したり、児童ポルノを所持しないためにはどうしますか?
被告:さすがに持病もありますし年齢もキツイので、出所してからもうしないと行動で示すしかないと思います
「児童ポルノをなぜ持っていた?」「持っているだけです。使っていません」
続いて女性検察官が厳しく被告を追及した。
検察官:あなたが被害者をみかけたとき、被害者は何をしていましたか?
被告:覚えていません
検察官:みかけたあとはどうしましたか?
被告:後をつけていきました
検察官:「女の子に話しかけたかった」と言っていましたが、なぜ後をつける途中で声をかけなかったのですか?
被告:かけませんでした
検察官:なぜ自宅に入ってから腕をつかんだのですか?
被告:一人になるのを待ってました
検察官:性犯罪がこれまでに3回ありますよね
被告:前回(女子高校生の胸を触った事件)は性犯罪だと思っていません
検察官:これまでに7歳と6歳の女の子の家に侵入して暴行をしている。どれだけの恐怖か考えなかったのですか?
被告:そのときは考えませんでした
検察官:じゃあなぜ今回は?
被告:なぜそういう行動をとったのか自分でもわからない
検察官:被害者の女の子の腕の痕を見ましたか?
被告:見ました
検察官:強い力でつかんだとは思わなかったですか?
被告:写真を見てそう思いましたけど、それほど強い力でつかんだと思っていません
検察官:車庫で女の子に知らないおじさんが話しかけていいと思いますか?
穂国:思っていないです。話しかけたかった
検察官:前回とやっていること同じですよね?
被告:うーん……話しかけたかっただけなので
検察官:自分のやってことが分からないのなら、これから同じことをしないようにできないですよね?
被告:もう子どものいるところに行かないようにして行動で示すしかない
検察官:児童ポルノをなぜ持っていたのですか?
被告:持っているだけです
検察官:自慰行為に使っていたのではないですか?
被告:使っていないです
「話しかけるだけならいいと思っていました」…困惑する裁判官
続いて裁判官がいくつか質問を行った。
裁判官:被害者はどう感じたと思いますか?
被告:自分が同じ立場だったら怖いと思います
裁判官:どう怖いと思いますか?
被告:見ず知らずのおじさんが来て腕をつかむことは恐怖だと思います
裁判官:わいせつ目的ではなかった?
被告:はい、わいせつ目的では一切なかったです
裁判官:わいせつ目的でないなら許されると思っているのですか?
被告:話しかけるだけならいいと思っていました
裁判官:あなたの言っているそのことを信じると思いますか?
被告:自分はこう言うしかないと思っているので
裁判官:………(頭をかく)………あなたのロリータコンプレックスの性癖とどうつきあっていくつもりですか?
被告:そういうものを見ないように生活するしかないです
…………
被告人質問で裁判は結審し、検察側は「犯行は一方的で身勝手で悪質。供述は信用できない」として懲役2年を求刑。
弁護側は同情の余地はないとしつつ「適切な判決」を求めた。
判決はおよそ2週間後に言い渡される。