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PCR検査が受けられない!?

「熱と咳が1か月近く続いている。でも検査してくれない。」
こう語るのは函館市に住む30代の男性。
2月末から37.5℃程度の熱と咳が続き、
市内の病院を受診するもインフルエンザや結核の検査はすべて陰性。
症状が続くため肺炎の所見はないものの新型コロナウイルスへの感染を疑い、
保健所の帰国者・接触者相談センターに電話をしました。

しかし。
「中国に行ったか行っていないかを聞かれ、コロナ以外の病気の可能性もあるので、
いろいろなところで検査をやってから最終的にコロナの検査になりますと言われた。」
保健所の担当者からはより大きな病院の受診をすすめられただけで、
新型コロナウイルスへの感染を確認するPCR検査を受けることはできませんでした。
その後男性は薬で治療し回復しましたが、何が原因だったのかは分からないままです。
男性は「精神的にも肉体的にもつらい。
これだけ検査しないとなると何も安心できない世の中になってしまう」と語っています。

「インフルエンザのように誰でも検査をしていては医療崩壊が起きる。」

厚労省によると、現在の日本国内のPCR検査の検査能力は1日約9000件。
しかし、実際は多い日でも3800件程度の検査に留まっているのが現状です。(4月4日時点)

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3月6日からは公的保険が適用された上、
民間でも検査ができるようになっているPCR検査。
なぜ、これほどまでに検査が進んでいないのでしょうか。
保健所が危惧しているのは「医療崩壊」です。

医療現場は今。感染症病棟とは。

道南最大の病院で感染症指定医療機関である市立函館病院。
新型コロナウイルスに感染した患者が入院し治療を受けるのは「感染症病棟」です。
ウイルスが外に漏れださない陰圧と呼ばれる構造で、
病室内にはトイレやシャワーが設けられ、許可なく病室から出ることはできません。
家族らと面会をするのもガラス越しでマイクを通して会話します。
市立函館病院の感染症病棟には6つのベッドがあり、
一時4つが埋まった状態になりました。

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森下清文院長は当時の様子を
「4人の患者に対して40数人の職員を割かなければならない。
多くの患者が押し寄せた時にもともとある医療を守りながら
そちらも対応するというのは非常に難しい状況。」と語ります。
基幹病院でもある市立函館病院では5年前に比べ職員が50人ほど減少している一方で、
救急車の受入れは4700台から5800台と急増しています。
感染症治療をさらに拡大させるとなると
もともとある救急業務などに支障が出る恐れがあるのです。

PCR検査は100%ではない

さらに森下院長はPCR検査の確度にも問題があるといいます。
「PCR検査の確度は50%くらい。
病気を持っているのに病気でないと判定したり
逆に病気を持っていないのに病気を持っていると判定したりする割合があるので
それが全部病院に来てしまうと全く対応が難しい。」

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また、検査を受ける人たちが外来に押し寄せることで、
そこに感染者が1人でもいた場合、集団感染が起きる危険性もあると指摘します。
「新型コロナウイルスは普通のインフルエンザの
1/1000~1/100くらいのウイルス量しかない。
病気があまり早期だとなかなか見つけづらい。」
道内でも医師や保健所が本当に必要だと判断して2096人が検査を受けていますが
陽性だったのは177人で1割未満です。(3月31日時点)

とはいえ、東京などでは感染者が日を追うごとに増加している新型コロナウイルス。
市立函館病院にはECMOと呼ばれる人工肺の治療に精通した医師がいて、
今後、道内で感染者が爆発した場合には
重症患者を受け入れる病院として治療に当たっていくということです。

この記事を書いたのは

HTB函館駐在記者・喜多和也

映画「しあわせのパン」の暮らしにあこがれて北海道に来て3年目。
函館から道南の話題をお伝えします。
情報や映像提供もお待ちしております!!
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