監獄から医療支援 マル獄で培った技術【コロナ禍の道南】
2020.06.19
デザイン〇 実用性〇 「マル獄」シリーズとは
どこか懐かしさを感じるデザインに、細部にまでこだわった実用性抜群のカバン。
実はこれ、函館少年刑務所の受刑者が作ったものです。
監獄の「獄」が丸で囲まれたロゴが特徴のその名も「マル獄」シリーズ。
刑務作業の一環として2006年に40枚の前掛けを作ったのが始まりで、
今では函館土産にと、買い求めにやってくる人もいるほど全国でも名高い“刑務所ブランド”の1つです。
コロナ脅威は檻の中にも…
コロナ禍でいわゆる「3密」の極みだと指摘される刑務所。
これまでに東京拘置所で被告1人が、大阪拘置所では職員8人が新型コロナウイルスに感染。
さらに道内でも4月に月形刑務所の刑務官1人が感染しました。
こうした状況の中、およそ500人が入所している函館少年刑務所では、
4月20日から刑務作業などを全て中止に。
感染が落ち着いた5月11日からは順次再開していますが、今も構外での訓練は実施できていません。
檻の中から医療支援 マル獄で培った技術を発揮
順次再開されている刑務作業の中で始まった一大プロジェクト。
それが「医療用ガウンの製造」です。
新型コロナの対応で逼迫する医療現場。
マスクやガウンなど感染対策を行う物資の不足も叫ばれています。
こうした状況に法務省は、縫製工場がある全国41の刑務所に医療用ガウンの製造を指示。
函館少年刑務所もその1つです。
製造は5月7日からスタート。
これまで扱ったことのない、破れやすい大きな生地に苦労をしながらの始まりでしたが、
そこは、マル獄シリーズで高い技術を誇る函館少年刑務所。
あっという間に当初予定していた「月内3000着」の目標を超え、
その倍となる6000着を製造しました。
函館少年刑務所の今井首席矯正処遇官は
「社会がとても大変なことになっているというのは受刑者も分かっていて
そういう中でガウン作りを通して社会に貢献できるということでやりがいを持ってやっている」と語ります。
今後は10月末までに4万着のガウンを作り、医療現場に届ける予定です。