今年初のサンマ水揚げ 1匹6458円!?

 日本人がこよなく愛す、安くておいしいサンマ。近年は深刻な不漁が続き、去年は過去最低の水揚げ量を記録するなど明るい話題がありません。
 今年は7月15日にようやくサンマが初水揚げされましたが、わずか197匹しか取れず。釧路での競り値は史上最高値を記録しました。その後地元の鮮魚店でのサンマの価格は!なんと1匹税込6458円。間もなく本格的に始まる今年のサンマ漁はどうなるのでしょうか。
 

深刻不漁…初物サンマも不振


 主力のサンマ棒受け網漁に先駆けて行われるサンマ流し網漁(7月8日解禁)。
秋のサンマ棒受け網漁と違い、三陸沖から道東沖を北上するサンマを漁獲します。
しかし近年はこの「北上サンマ」の数が減少しています。北上サンマは生まれる場所や生態の詳しいことが不明とされていて、数が減っている原因も分かっていません。
 そんな中サンマ流し網漁の去年の初水揚げ量はわずか446匹(48.3キロ)で、10年前の800分の1の少なさでした。
普段サンマのニュース原稿では「約◯トン水揚げ」と書きますが、初めて「匹」を使うことになりました。まさに「数えられるくらいの少なさ」です。
 今年サンマ流し網漁の操業に出たのは広尾漁協所属の1隻のみ。しかし出漁してもサンマが見つからず、初水揚げは史上最も遅い、解禁から1週間後の7月15日でした。水揚げ量も過去最低の197匹(20.9キロ)。その後釧路で行われた初競りでは、数が少なかったことが影響し、最高値が1キロ4万1040円と過去最高を記録しました。
 最高値で競り落とした会社の直売店に並んだサンマはわずか3匹。価格は税込6458円です。釧路町に住む70代女性客は「初物でもこんな値段は見たことがない。私の何十日分のおかず代が飛んでしまう。高級マグロより高いのでは」と驚いていました。

今年の公海サンマ漁は操業せず


 今年サンマ流し網漁が注目された理由は、公海サンマ漁に出漁している船が無かったことも影響しています。
 去年本格的に解禁された春の「公海サンマ漁」(5月1日~7月20日)は、秋の「サンマ棒受け網漁」(8月~12月)に先駆けて操業します。公海サンマ漁は国内での水揚げのほか、海上でロシア側の加工母船に魚を売る「洋上販売」を行います。加工母船の中では缶詰加工をしているそうです。
 しかし去年ロシア側への洋上販売の取引価格は60円/1kgと安く、水揚げ量も振るいませんでした。そのため去年、公海サンマ漁に参加した20隻(うち2隻は洋上販売せず)全てが赤字だったということです。
  全国さんま棒受網漁協会 は今年の取引価格について、値上げを求めてロシア側と交渉を行いましたが折り合いが付かず、今年の洋上販売は中止となりました。
 来年以降の洋上販売については「取引価格の合意に至れば実施したい」(全さんま)としています。
 一方今年は7月16日時点で公海サンマ漁に出漁する動きは見られません。漁期は7月20日までなので、このまま全船出漁しないことになりそうです。

公海サンマ…自由操業も赤字覚悟「出漁ためらう」

 今年は洋上販売が中止ですが、各漁船の判断で自由に公海で操業し、国内に水揚げすることは可能です。
 しかし国内に水揚げされる公海サンマは洋上販売の帰り道で操業した新鮮なサンマです。公海までは片道3日程度かかり、燃料代もかさみます。ほかにも深刻な不漁、5月~7月のサンマは小ぶりなど公海サンマ漁には課題が山積みです。
 今年も操業を検討した漁船の船主は「(公海サンマ漁は)漁場が遠く、今年も魚が取れないと赤字になるので、出漁をためらってる」などと話していました。
 また新型コロナウイルスの影響で、今年は公海で操業している外国船の数も少ないそうです。そのため漁獲状況が分からず、やみくもに遠い公海に行くことができないということです。
 公海サンマ漁は課題が多く、来年以降についても見通しは不透明です。

サンマシーズン到来へ!今年は??

 今年も間もなく本格的なサンマ漁の時期がやってきます。主力のサンマ棒受け網漁は8月から船の大きさに合わせて順次解禁していきます。
 去年は沿岸でサンマが見つからないなど、深刻な不漁となり、過去最低の水揚げ量を記録しました。背景には北の海の変化があると言われています。
 北海道区水産研究所の黒田寛主任研究員は夏から秋にかけての親潮の状況が近年変化していて、特に3年前から顕著に表れていると指摘しています。サンマが好む冷たい海水を運ぶ親潮は、夏から秋にかけて、以前は道東沿岸まで南下していました。しかしここ数年、親潮が千島列島付近までしか来ずに折り返してしまっています。そのため親潮に乗ってくるサンマが道東沿岸に近づかず、漁場が遠くなっている可能性があるということです。漁場が遠くなると漁の効率が悪くなるため、不漁の原因にもなります。
 黒田主任研究員によりますと、今年も夏から秋にかけて、親潮が道東沿岸に南下しない兆候が出始めているといい、漁場の沖合化が今年も続く可能性があるということです。
 一方サンマ棒受け網漁の見通し(海況予報)については、7月下旬ごろに発表される予定です。

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この記事を書いたのは

HTB報道部記者・佐藤裕樹

佐藤裕樹
HTB報道部記者。
釧路駐在(2018年11月~2020年12月)。
HTBノンフィクション『秋刀魚が消えた サンマのまち』
https://www.htb.co.jp/hn/log/2020/12281114/

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