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「過疎を取るか 核を取るか」 かつての友と袂を分かつ

2020年11月17日、日本で初めて「核のごみ」の最終処分場建の選定をめぐる文献調査が始まりました。

場所は北海道・後志の寿都町と神恵内村です。

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高齢化・過疎化が進む寿都町

普段は政治班ではない私ですが、寿都町への取材に向かうことになりました。キーマンはやはり文献調査に名乗りを上げた片岡春雄町長です。

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寿都町の片岡春雄町長

「5年前にステージ3のがんを患って『死』を覚悟した。救われた命、ボコボコにされてもやり遂げる」

その覚悟は、自宅に火炎瓶を投げ込まれても全く揺るがないほどでした。

町長のトップブレーンとして

一方で、取材をしていてもう1人、気になる人がいました。町議会議員の沢村国昭議員です。

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沢村国昭 寿都町議

「私は長年、片岡町長のトップブレーンとしてやってきた自負がある」

そう語る沢村さんですが、今回の文献調査には猛反対しています。

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選挙活動をする片岡町長:2001年

沢村さんと片岡町長との関係は、町長が初当選した2001年までさかのぼります。当時、役場職員として町長選に出馬した片岡町長ですが、対抗馬には知名度で劣り決して優位な状況ではなかったそうです。

その頃、沢村さんは函館でのサラリーマン人生を終えて、生まれ故郷である寿都町に戻ってきていました。函館でも選挙の裏方経験があった沢村さんに友人から声がかかりました。片岡町長の選挙応援です。それを承諾して、陣営の事務局長を務めました。沢村さんの尽力もあってか、片岡町長は無事、初当選を果たします。

沢村さんも、ほどなくして町議会議員となり、「風力発電の建設」や「道立病院の町への移管」など、町民から英断として讃えられる政策を裏で支えてきました。

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片岡町長が初当選時の2人

なぜ『核のごみ』なのか

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アルバムを眺めながら片岡町長について語る沢村さん

「うちの町長はどこに出しても恥ずかしくない。他の自治体から羨ましがられる」

沢村さんが片岡町長のことを語るときは、大抵、笑顔です。参謀として二人三脚でやってきたという誇りのようなものを感じます。

しかし、「核のごみ」の話になると、どこかもの悲しい表情になります。

「なぜ核のごみなのか。貧乏でもいいじゃないか。町が死んでしまう。賛成してあげるのが良いんだろうけど、これだけ住民から反対の声が出ている。反対するのもブレーンの仕事だ」

今回の文献調査のことについて、町長からの相談は一切なかったそうです。

信頼のあるなしを通り越している

一方、片岡町長に沢村さんのことを伺うと、「今は喋るべきじゃない」としながらも、少しだけ話を聞かせてくれました。

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沢村さんのことを語る片岡町長

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沢村さんのアルバムに書かれたメッセージ“みんなでつくろう寿(ことぶき)の都(みやこ)”は片岡町長のキャッチフレーズ

「しょっちゅう相談にも行っていたし、信頼のあるなしを通り越している。阿吽の呼吸だ。良き兄貴分でもある」

そう語る片岡町長の表情もどこか悲し気です。

「時間が経てば分かりますよ、お互いに。あの時はこうだったって」

“町を二分する”とも言われる、この「核のごみ」処分場問題。政策の違いで袂を分かつことなど、珍しいことではないとは思うものの・・・。2人が今後、どのような道を歩むのか、調査の進展とともに注視していきたいと思います。

テレメンタリー2020
過疎を取るか 核を取るか ~「核のごみ」最終処分場に揺れるマチ~

HTBでは11月29日(日)午前10時30分放送
テレビ朝日系列で全国放送 東京(テレビ朝日)は29日(日)朝4時30分から

番組のナレーションは、人気ドラマ「半沢直樹」(TBS)など数々の番組を担当されている山根基世さん(元NHKアナウンス室長)です。

東京・大阪・札幌など、電力を使う大都市から遠く離れた過疎のマチが直面する現実。皆さんに考えて頂くきっかけとなれば幸いです。ぜひ番組をご覧ください。

番組URL:https://www.htb.co.jp/telemen/nuclear/

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この記事を書いたのは

HTB報道部記者・雲戸和輝