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ワクチン接種・・・過疎のマチはどうするのか

 新型コロナウイルスワクチンの医療従事者向けの先行接種がついに道内でも始まりました。4月以降に始まる高齢者向けの優先接種に向けて道内の自治体では準備が進んでいます。
 しかし過疎が進む小さなマチでは都市部とは違った課題を抱えています。

ワクチン接種で診察時間縮小へ

 道内有数の米所、蘭越町。人口4600人の小さなマチでもワクチン接種の準備が進んでいます。
 蘭越町では中心部の保健福祉センターで集団接種を予定しています。そこで課題となるのが医師や看護師の確保です。
 ワクチン接種を行うのは主に看護師で、医師は問診を担当します。蘭越町では平日の午後に集団接種を行う予定です。
 町内には診療所1つ(3月末までは2つ)と民間病院がありますが、小さなマチでは医療従事者が限られてしまいます。特に診療所はワクチン接種時には医師や看護師が取られるため、接種が終わる秋ごろまで診察時間の縮小は避けられないと言います。

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限られた交通手段に専用バス検討

 蘭越町では4月からの優先接種の対象となる65歳以上の高齢者は1887人で、人口のおよそ4割にあたります。
 取材をしている限りではほとんどの高齢者がワクチン接種を希望し、周りでも多くの人が接種を希望しているそうです。ニセコ地区はこの冬、外出自粛や入国制限のあおりを受けていることから新型コロナウイルスの早期終息を願う気持ちが高いと話していました。
 蘭越町では町内を横断するバスは1日2本のみ。そのほかコミュニティバスも走っていますが十分な量とは言えません。無理に既存の公共交通機関のみで接種希望者を移動させると、バス車内が密になったり、接種会場の待機場所が密になったりする可能性があります。
 そこで接種希望者で、特に車を運転できない人をどうやって移動させるかが課題となっています。
 蘭越町健康推進課谷口敦哉主幹(ワクチン接種担当)「交通手段がない人にバス送迎を検討していて、町の福祉バス1台とレンタカーのバスを考えている」。
 町は独自に移動手段を提供することで町民の接種率向上にも期待を寄せています。そのために専属の運転手を雇うなどの対応も必要になる見込みです。

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足らない人手・・・町独自では限界も

 ワクチンの一斉接種はどの自治体にとっても初めての経験です。その中でも小さな自治体では役場職員の数に限りがあることから苦労も多いと言います。  蘭越町金秀行町長「ただ机上でいろんな方法で行おうとしている。これから時間がないがいろんな問題が出てくる。今の現状で職員がすべて担えるかというと非常に難しい」。  そこで、町は医薬品などの専門知識を持った民間会社シミックホールディングスに協力を仰ぐことにしました。シミックはワクチン接種会場に人材を派遣するほか、ワクチンに関する電話対応のマニュアル作りなどを行う予定です。またワクチン接種のスケジュールなどを管理するシステムでも町を支援する見通しです。

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「安心安全を」民間とタッグ

 シミック中村和男CEO「そもそも(町と)話をしていると何が問題で何が起こっているかすら分からない状況。私たちが持っているノウハウや色んなものが使えるなら使ってくださいということで入らせてもらった」。
 蘭越町健康推進課谷口敦哉主幹「慣れるまでは看護師が打つにしたって初めてだし、(ワクチンの)希釈の仕方も含めてシミックに指導を仰ぎたい」。
 国はワクチン接種に関連して自治体が民間企業に業務委託した場合、その費用を補助することを決めています。上限など詳細は見えていませんが、小さなマチでは限界があります。住人の移動手段(専用バスなど)をはじめ民間に頼れるところは頼ることも迅速なワクチン接種の運営には大切なことです。
 新型コロナの収束に欠かせないワクチン接種。蘭越町では民間会社の協力を得て急ピッチで準備を進めています。

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この記事を書いたのは

HTB報道部記者・佐藤裕樹

佐藤裕樹
HTB報道部記者。
釧路駐在(2018年11月~2020年12月)。
HTBノンフィクション『秋刀魚が消えた サンマのまち』https://www.htb.co.jp/hn/log/2020/12281114/