看護師になりたかった…③ パワハラ52件認定 教師11人関与

HTBで継続取材してお伝えしている北海道立高等看護学院を巡る教師によるパワーハラスメント問題。最初の訴えからすでに1年以上が経過していますが、先日ようやく動きがありました。北海道が5月に設置した第3者による調査委員会がハラスメントを認定したのです。放送ではお伝えしきれなかった調査委員会の会見について詳しくお伝えします。

江差と紋別で52件、教師11人が関与

10月12日、北海道の第3者調査委員会は約3カ月ぶりに函館市内のホテルで会議を行い、5月から続けてきた調査の結果を取りまとめました。会議後には会見を行い、結果を次のように報告しています。

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ハラスメントと認定された52件の内訳は

・暴言や名誉棄損などの侮辱行為27

・執拗な非難12

・教育的配慮不足(再試験願を受け取らないなど)9

・威圧的な行為3

・暴力、傷害(手元を叩かれた)1件  です。

ハラスメントが起きた原因については

・学院長の関与が乏しく実態を把握できていなかった管理職等の責任感の欠如

・教師に共通してみられる基本的な傾向として、学生を育てる教育機関としての意識の乏しさ

・副学院長に事実上権限が集中し独人的な経営や運営がみられ、チームとしての教育の乏しさ

などを挙げました。

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さらに、上記のハラスメント認定件数には2015年ごろからのものも含まれており、長期的にハラスメントが続いた原因については北海道の責任も厳しく指摘しました。

<第3者調査委員会・藤井寿夫委員のコメント>

2015年からの問題に対して北海道は指導をしているが、やはり不十分だったと思う。昨年9月には北海道に苦情が匿名で届いている。もしその頃にもっと具体的な動きをしていれば、こうはならなかった。また、今年1月から北海道にはハラスメントに関する複数の手紙や電話も寄せられている。その後、3月に北海道庁から2人が江差高等看護学院に来て調査をしているが、やはりもっと早くにやるべきであった。加えて、聞き取りについては本来であれば管理職が来るべきだが、今回は係長職2人が行っている。さらにそのうち1人は、以前に当該の副学院長と同じ職場にいたということで、やはりその調査報告書を見ても、第3者調査委員会が学生から聞き取りした内容とは乖離していると思わざるを得ない部分があった。こうしたことが問題を深刻化させたことの一因ではないかと思い、やはり北海道の責任は重い。

教師の処分と再発防止策

今回の問題が明るみになった今年4月、北海道は学生らから訴えの挙がっていた江差高等看護学院の教師6人を授業から外す応急対策をとっています。しかし、この教師たちは授業からは外れたものの学院内での勤務は続いており、休学中の学生や保護者からは教師の学院外への人事異動などを求めています。

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ハラスメントに関与した教師の処分について、第3者調査委員会の山内良輔座長は「処分というのは北海道の専権のため第3者調査委員会としては踏み込んでいない。ただ、人員配置について学院の正常化のためにこのまま江差高等看護学院で勤務を続けるのが妥当かどうかについては、勤務を続けない方が良いのではないか、別の場所でご活躍頂いた方が良いのではないか。」と述べました。

さらに第3者調査委員会は、教師の中にはハラスメント事案について認めている人と認めていない人がいると明かし、藤井委員は「記憶にないとか忘れたとか、覚えていないとかいうのはあった。ただ、学生からの聞き取りの多くは極めて具体的で、少なくとも教師の言動によって深く心が傷ついている。学生が傷ついているという事案があるにも関わらず、教師が覚えていないとか記憶にないとかいうこと自体が問題だ。」と指摘しています。

今後、学院が正常化に向かうための再発防止策について第3者調査委員会は

・組織自体を改革して人事制度を見直す

・教師のハラスメント研修などをもっと積極的に行う

・開かれた学校づくり

などを北海道に対して提言するということです。

看護教育の役割とは

今回の問題では「教育のあり方」についても改めて問われています。

3者調査委員会のメンバーであり北海道看護教育施設協議会の会長でもある平松聡美委員は、今回の問題について「教え込むという誤った教育方法で非常に前時代的なものを感じる。しっかりと見直しをしていかなければ、また起こり得るかもしれない問題で、学生をどのように捉えないといけないのかについてしっかり確認をしていかなければならない」と述べました。

その上で、看護教育の役割については「時代の要請に答えられる看護職の育成に尽きる。もう教え込むという時代は終わった。学生の人権も大事にしながら地域医療の担い手となる看護師を育てていきたい」と語りました。

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3者調査委員会による調査書は、1019日に北海道に提出されていて、10月中にも学生や保護者に対して説明会が行われる予定です。

<テレメンタリー2021 「看護師になりたかった…~命の救い手 絶たれた未来~」>

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この記事を書いたのは

HTB函館駐在記者・喜多和也

映画「しあわせのパン」の暮らしにあこがれて北海道に来て4年目。

函館から道南の話題をお伝えします。

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