「グエー死んだンゴ」がんで早逝の元北大生22歳…奏でた辞世のユーモア8文字 ネット民がつなぐ思い

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10月14日。Xにアップされた「グエー死んだンゴ」の投稿。

失敗したことを自虐的に表現するフレーズで、主にインターネット掲示板やXのコミュニティーなどでよく使われています。

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この投稿はわずか1か月あまりで3億回以上も見られ、反響は今も広がり続けています。

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投稿したのは、北海道大学の元学生の中山奏琉さん。10月12日、22歳という若さで亡くなりました。

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中山さんの友人・松岡信さん「人生で一生出会わない人に出会ったなっていう印象がありました、あのツイートを見たときに最期の最期にやりやがったって」

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中山さんの父「奏琉のことなんて見たことも聞いたこともないような人が「お悔み」とか「涙流しました」みたいなことを書いていただいて本当にうれしいですね」

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この投稿をきっかけに研究機関には「香典」などとして1500万円以上の寄付が。

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死後に向けた、たった一つの投稿が生んだ輪の広がりに迫ります。

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病室で多くの友人たちに見守られながら、息を引き取った中山奏琉さん。22歳。

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オホーツクの山間部に位置する津別町。緑あふれる林業がさかんなマチで中山さんは生まれ育ちました。

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町内で農業を営む中山さんの父・和彦さん。

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父・和彦さん「本人から直接もらったわけではないんですけれども、入院している最中に兄に奏流本人が頼んだみたいで、渡されました」

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小さいころから運動が好きだったという中山さん。小学生のときからソフトテニスに打ち込み、地元の中学校を卒業したあとは、スポーツ推薦で札幌の高校に進学。

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そして一浪の末、おととし北海道大学に入学しました。

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父・和彦さん「高校のときの進路指導の先生にあとから聞いたのは、農業関係の機械の制作とか研究をしたいと言っていたらしいです。機械を作って少しでも農家とか、ぼくに対して少しでも仕事が楽になればという思いがあったと思うので、それはうれしかった」

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あこがれの大学での学生生活も束の間、1年生の10月にがんがみつかります。

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「類上皮肉腫」といういわゆる「希少がん」でした。

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父・和彦さん「びっくりしたのと『なんでうちの子が』というのがまず第一でしたね。小さいころから風邪もあまり引かないような健康な元気な子だったのでそんな大きい病気にかかると思いもしなかったので本当にびっくりでした」

がんと闘う様子が、ブログに残されていました。

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(noteより)「10月25日、がん発覚。手術で肋骨ごとごっそり取るらしい。太ももから皮膚移植する可能性もあるらしく、そうだったら術後痛いらしいのと数か月の入院が必要らしい」

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「手術が終わりました。中山です。中の筋肉と肋骨が無くなったのでそこの感覚だけおかしいです」

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およそ一か月の入院を経て、大学生活に戻った中山さん。サークルのリーダーとHTBでのアルバイトの日々でした。

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サークルとバイトが一緒だった井浦貴之さんと松岡信さん。

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友人・松岡信さん「突然、将来設計を5年後くらいに設定して、そこまで全部やるみたいになっていたので、すごいアグレッシブになったというのはあったかもしれないですね。フットワークは軽くなりました。明らかに」

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はじめの入院から1年ほどが経った去年11月。再びがんが彼を襲います。

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(noteより)「再発が発覚してから1週間ほどたったのですが、転移してましたね。結論から言うとステージ4らしいです」vlcsnap-2025-11-27-11h18m42s174.png

(noteより)「もう癌を取り除く施術はできないらしくこれからは延命のための治療だそうです。抗癌剤ですね」

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(noteより)「まだやりたいことがそこそこ残っているので死ぬまでに消化できたらうれしいです」

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(noteより)「できることならまだ死にたくないですが」

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友人・松岡信さん「静内にサクラを見に行ったのが4月の終わり、5月ごろなんですけど、それが最後のみんなで一緒に遊んだ記憶ですね、ぼくの中では」

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「二十間道路で車をとめてサクラを見たときに、彼はおもむろにあぐらをかいてタバコを吸い始めたってのがぼくの中での印象です辛そうではありましたけど、楽しそうにしていました」

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中山さん「やめろやー、魂抜かれる」

松岡さん:「動いている動画貴重なんだよ」

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松岡信さん「大学祭はがんばって来ていたんですよ、歩くのもやっとみたいな感じで、ちょっと歩いたらちょっと休憩させてくれみたいな感じだったので」

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松岡信さん「何単位とれたの?」

中山さん「ゼロ。来年からニートですね。まじ何しよ、暇なんだよね」

松岡信さん「札幌にいさせてもらえるの?」

中山さん「病院あるし」

松岡信さん「都合よく病院にいさせてもらえるの?」

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中山さん「都合よくというか死ぬもん。おれはいつ死んでもいいんだけどさ」

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8月上旬。呼吸が苦しくなり自分で救急車を呼び、そのまま入院。9月の初めには緩和ケア病棟に移動しました。

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10月10日、「多分そろそろ死ぬ」という投稿を残し、その2日後、22歳という若さで亡くなりました。

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松岡信さん「最後の最後まで全くしんみりしなかったっていうか、ずっと元気でしたね。病院で、ベッドの上ではちょっと弱っていましたけど。それでもこいつ病人かっていうくらいご飯を食べていたしゲームをしていたし友達と話していましたし」

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「全然こちらとしても悲しむ暇がなかったし、いまもずっと悲しくないし、ずっといるような感じがするんですよ、彼、それくらい我々に残したものが大きかった」

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中山さんが亡くなった翌日、中山さんのアカウントから投稿がありました。

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Xの投稿:「なかやまの友人です。以前よりこのアカウントを預かっておりましたので、代理でご報告いたします。10月12日の夜、なかやまは静かに息を引き取りました」

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投稿をしたのが、友人の井浦さんでした。

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友人・井浦貴之さん「お見舞いに行ったときに、最後に、『パスワードこれなんで』ってパスワードを渡されて特に『何をしてくれ』とは言われなかったんですけれど」

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「最初はそのまま置いておくべきか迷っていたんですけど、インターネットの知り合いに伝えておこうという話になりまして」

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Q何も言わずにアカウントを渡してきたが、中山さんは報告をしてほしかった?

「そうですね。他人のアカウントにログインするのはよくないかなと思っていたんですけれども、そういうことなのかなと思い、投稿しました」

………………

亡くなったことを報告した翌日…Xに思いがけない投稿が…

その翌日、中山さんのアカウントからさらなる投稿が。それが話題となったフレーズです。

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亡くなる直前に、中山さんが予約投稿していたとみられていますが、親しい友人にでさえ、この投稿は伝えていなかったといいます。

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友人・松岡信さん「そのときはちょっとしんどかったんで、彼のツイッターは見ないようにしていたんですけど、そのあとに、自分の画面に彼のツイートが出てきて、すでに1万くらいいっていて」

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「あいつはとんでもない爆弾を残していきやがったと思ってあのツイートで吹っ切れたというのもぼくはありますね」

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中山さんが闘病のさなかも、断ち切らなかった「つながり」。ネット上の多くの人々の心に広がっていきました。

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ネット上の投稿「寄付させていただきました。ご冥福をお祈り申し上げます」

ネット上の投稿「成仏してクレメンス まさかこんな8文字に胸を打たれるとは思ってもみませんでした」

死を語るには不謹慎にもとられかねないフレーズも、そっと送る言葉です。

Xには香典代わりなどとしてがんの研究機関に寄付をしたという投稿が相次ぎました。

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中山さんが入院していた札幌市白石区の北海道がんセンターには、昨年度は全くなった寄付がこの1か月間で460万円余り集まりました。

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また、東京都江東区にある、がん研究会には1000万円以上の寄付が寄せられています。

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友人・松岡信さん「本人はおそらくおれをダシにしやがってって怒ると思うんですけど」

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「やっぱり中山奏琉だなという感想ですね。ここまで世界を動かすかっていう、そこでもとんでもないやつだなというのが一番の感想ですかね」

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今月13日。中山さんが浪人時代から暮らした、札幌市東区のアパートに父・和彦さんの姿がありました。

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父・和彦さん「あ、これだ、これですね」

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Q北大に合格したときの?「そうですね、全然通えなかったですけど」

中山さんが遺した投稿について、聞きました。

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父・和彦さん「本人はこんなんになると思ってはなくて、友達の中で笑ってもらえればという感じだったと思うんですけどびっくりしているのと、うれしいと思っていると思います」

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「誇らしい息子ですよね、本当は長く生きてくれたらよかったんですけど、本当に誇らしい息子です」

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この記事を書いたのは

SODANE編集部

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