【今語りたいアノ人】日向坂46・上村ひなの、ひなくりで魅せた次世代エースとしての進化
2021.12.27
日向坂46(以下日向坂)は12月24日、25日に『ひなくり2021』を開催した。けやき坂46時代から恒例となっているクリスマスライヴ。2年ぶりに有観客での開催となったひなくりは、遂に東京ドームでのライヴ発表もあり大団円に終わった。(ライヴ総括は こちら)
ライヴの総括記事の中でも触れたのだが、現在日向坂というグループは小坂菜緒という大切なピースを休養で欠きながらも、その穴を埋めんばかりにステージパフォーマンスの面で充実の時を迎えている。加藤史帆、金村美玖が2021年リリース『君しか勝たん』『ってか』で表題曲のセンターを走り抜け、佐々木美玲と丹生明里も、主演ドラマのタイアップソング“声の足跡”でWセンターを務めた。
その流れの中で、全国高校生クイズ2021の応援ソングとなった“何度でも何度でも”において、遂にセンターを務めたのが三期生・上村ひなのだ。自身もグループ最年少・現役高校生として、自分自身のペースで前に進もう!という応援ソングを完全に描き切った彼女。ここに来て急激な進化を遂げている、『ひなくり2021』でも一際発露していた彼女の魅力に今改めて迫りたい。
正統派としての進化
彼女は「いつでもどこでも変化球」という自己紹介フレーズにもあるように、バラエティの側面で加入当初から大きな存在感を示してきた。歴代の冠番組のMCである小藪一豊やオードリー若林正恭からも賞賛を受けていたように、独特のワードセンスで様々な場面で爪跡を残してきている。
そして、ここに来て急激な進化を遂げたのはステージングだ。振り返ると、3rdシングル『こんなに好きになっちゃっていいの?』に収録された“一番好きだとみんなに言っていた小説のタイトルを思い出せない”にて、彼女はソロ楽曲に挑戦している。昨年のひなくりでも披露された本楽曲で、彼女は不可思議な歌詞世界を通して、10代特有のモラトリアム的苦悩を高い演技感覚で乗りこなしていた(ひなくり2020の記事は こちら)。また、彼女の声質に注目されたのも本楽曲だろう。少し鼻にかかった独特の中低音の成分、臆することなく堂々と歌声を届ける姿勢、そのどれもが彼女が持つ未来の可能性が瞬いていた。
だが、本格進化はまだ残されていた。前述したように彼女がセンターを務めた“何度でも何度でも”という楽曲は、日向坂というグループが持つ中核ーー「ハッピーオーラ」というテーマの先、“青春の馬”という楽曲を通して見出した「聴き手の背中を押したい」という想いに完全に寄り添ったもの。その楽曲世界の中で、青春時代の刹那にしか目撃できないようなエネルギッシュな表情の数々と力強いダンスをひなくりのステージのみならず、MVでもありありと表現し切った。アンニュイな表情だけではなく、日向坂というグループのど真ん中を乗りこなす、太陽のようなエネルギーの表現を彼女は完全に得たと断言できるだろう。生来から持っていたユニークなキャラクターだけではなく、グッと大人びてきたルックスも相まって、彼女自身も目指していたと公言していた「正統派アイドル」という言葉が似合うステージを描いている。
「ひらがなけやき」を知る3期生として
彼女がグループに加入したのは、まだ日向坂が改名前の「けやき坂46」のことだった。たった3か月ほどのことだったかもしれないが、間違いなく彼女にとっては大切な時間だっただろう。たった独りでグループに3期生として加入し、1期生と2期生の背中を追いかけながらグループが大きく変貌する時間を体感した彼女。グループとしての露出やステージの大きさも加速度的に大きくなる中で得た経験は、何にも代えがたいはずだ。
そして、同期という存在は彼女の心境を大きく変えたに違いない。同じオーディションを経てはいたものの、上村とは異なるタイミングで日向坂に新三期生として加入した髙橋未来虹、森本茉莉、山口陽世。彼女たちと共に披露していた三期生楽曲である“Right?”や“この夏をジャムにしよう”の際の上村の表情は、非常にリラックスしていた。先輩メンバーを追いかけるだけはなく、本当の意味で肩を並べて歩みを進めることのできるメンバーの存在ーー“何度でも何度でも”という楽曲でも彼女の背中を支える同期の存在は、間違いなく彼女にとって心の支えとなっているだろう。
未だにグループでは最年少の17歳であることに驚きを隠せないが、グループの大転換期も経験し、今完全に進化を遂げた姿をステージで表現している彼女。上村ひなの、という日向坂の次世代を背負っていく存在にこれからも眼が離せない。
(撮影:上山陽介)(テキスト:黒澤圭介)
日向坂46「ひなくり2021」2021年12月24,25日 セットリスト
Overture
1. アディショナルタイム
2. 膨⼤な夢に押し潰されて
3. ソンナコトナイヨ
4. アザトカワイイ
5. 好きということは... (24日:どうする?どうする?どうする?)
6. 世界にはThank you!が溢れている (24日:沈黙が愛なら)
7. この夏をジャムにしよう(24日:Right?)
8. 嘆きのDelete
9. まさか偶然...
10. こんなに好きになっちゃっていいの?
11. 川は流れる
12. ホントの時間
13. 何度でも何度でも
14. ⽇向坂
15. My fans
16. キツネ
17. ってか
18. 誰よりも⾼く跳べ
19. 思いがけないダブルレインボー
20. JOYFUL LOVE
EN1. 君しか勝たん
EN2. 約束の卵