すすきの殺人 瑠奈被告の父に執行猶予付きの有罪判決 〝殺人の手助け〟は認められず
2025.03.13
札幌地裁・渡邉史朗裁判長は次のように述べました。
「瑠奈にとって実の親であり瑠奈の犯行を阻止できる唯一の立場にあったことから、瑠奈の犯意を心理的に促進した程度も決して小さくなかった」
裁判所の判断は実行犯である娘の犯行を手助けしたとする検察の主張を一部認めました。
■札幌地裁・渡邉史朗裁判長
「主文、被告人を懲役1年4カ月に処する4年間その刑の執行を猶予する」
■廣瀬美羽リポート
「現場は歓楽街にあるこちらのホテルです。男性は2階の一室で1人倒れているのを発見されました」
2023年7月、全国有数の歓楽街・すすきののホテルで当時62歳の男性が殺害され「頭部」が持ち去られたという前代未聞の事件…。
逮捕・起訴されたのは札幌市厚別区に住む、親子3人でした。
男性殺害の実行犯とされる田村瑠奈被告。
問われているのは「殺人」、頭部を持ち去った「死体領得」、そのまま自宅に保管した「死体遺棄」、その頭部を更に傷つけた「死体損壊」の4つの罪です。
父親の修被告は4つの罪それぞれに手を貸した「ほう助」の罪に。
母親の浩子被告は「死体遺棄」と「死体損壊」のほう助の罪に問われています。
■須藤真之介
「こちらのホテルで当時事件が発生しました。中に入ってみたいと思います(外)/(中)入口を入ってすぐエントランスがあり天井には防犯カメラがあります」
これはHTBが入手した現場ホテルの防犯カメラの映像。
7月1日の午後11時ごろ、瑠奈被告と被害男性が一緒にホテルに入りエレベーターに乗っていく様子が映っていました。
それからおよそ3時間後の翌2日午前2時ごろ、瑠奈被告はバッグのようなものを乗せたスーツケースを押して1人でホテルを出ていきました。
頭部のない男性遺体が見つかったのはこの日の午後。
長時間、チェックアウトしないことを不審に思ったホテルの従業員が鍵を開けて部屋に入ると、浴室で倒れている男性を発見しました。
■前田愛奈リポート
「ホテルから持ち去られた男性の頭部は、きのうの家宅捜索でこちらの家から見つかりました」
ホテルで遺体が見つかった日からおよそ3週間後。田村親子の自宅で、男性の頭部が見つかりました。
男性を殺害し、頭部を自宅に遺棄した罪に問われている娘の犯行を手助けしたとして起訴されている修被告。
起訴状などによりますと、修被告は事件前、男性の殺害計画を知りながら
のこぎりやキャリーケースなどを購入して娘の瑠奈被告に提供。ナイフやのこぎりを所持した瑠奈被告を自宅からホテル付近まで送迎し男性の殺害を手助けしたなどとされています。
事件からおよそ1年半が経ち、1月14日に開かれた初公判。
■修被告VO
「違うと思う点がいくつかあります」
修被告は起訴内容を否認し、無罪を主張しました。
裁判の争点は大きく2つ。「修被告が瑠奈被告の殺人計画を事前に知っていたかどうか」、そして「修被告の行為が、瑠奈被告の行為を直接的にも、精神的にも手助けをしていたかどうか」です。
■依田英将アナウンサー
「午前11時過ぎ、札幌地裁前です。傍聴を希望する多くの人がすでに集まっています。注目度の高さがうかがえます」
注目の判決審、12日午前の札幌地裁には49の一般傍聴席を求め、およそ6倍の291人が列を作りました。
■札幌市民60代
「お父さん(修被告)に無罪判決が出るのか有罪判決が出るのかどのように裁判長が判決を出すのか聞いてみたい」
■恵庭から50代
「どうして、あのような事件になって娘さんのことを大事に思っているんだと分かるんですけどどんな判決がおりるのか気になって来てみました」
そして午後2時から始まった判決公判。
■札幌地裁・渡邉史朗裁判長
「主文、被告人を懲役1年4カ月に処する。4年間その刑の執行を猶予する」
裁判所は死体遺棄と死体損壊のほう助の罪については「精神的・心理的に
支えるものであった」などとして認定。一方、殺人と死体領得のほう助の罪については認めませんでした。
■札幌地裁・渡邉史朗裁判長
「瑠奈が殺人まで犯そうとしていると被告人が推知していたとはいえず殺害後に死体の損壊や遺棄等に及ぼうとしているとまで思い至ったと到底言えない」
■中村先生紹介カット
12日の裁判を傍聴した東京地検の元検事・中村浩士弁護士。
今後行われる浩子被告の判決に与える影響については・・
■シティ総合法律事務所・中村浩士弁護士
「浩子被告の裁判でも、今回の修被告(の裁判)で認定された事実関係、これは大前提もものとして同様の判断がされていくと思う」
「修被告は死体遺棄のほう助と認定されたのと同様、浩子被告も自宅に頭部があると知った以降も自宅での頭部の隠匿行為、これについてはほう助罪が認定される可能性が高いと思う」